リオ五輪のサッカーの第二戦の後の、中島選手のコメントだったと思う。
次の試合も、今日のように観客を味方につけて・・・
そんなことを言っていた。
今回のオリンピックで気付くのは、良いプレイが出た時に、大きな歓声が沸くのだけれど。
その中に明らかに、応援に行っている日本人ではなくて、現地のブラジル人が多く混ざっていることだ。
さっきの錦織選手の試合もそうだった。
素晴らしいプレイに拍手を送り、終盤には、錦織コールまで発生していた。
理由はいくつかあると思う。
日本人系の移民が多い事。
日本系の企業が多くブラジルの発展に貢献してきたこと。
東アジアを除けば、多くの国は親日で、応援してくださる。
まして、良いプレイが出ると、あっという間にコールまでしてくださる。
先人のおかげでもあるし、もちろん、観客を沸かせるようなプレイをする選手のおかげでもある。
テレビを見ても、日本人選手の結果や中継しかやっていないけれど。
4年後は、実際に選手が来日するのだから、きっとこうじゃなくなる。
日韓共催のワールドカップの時も、ベッカムフィーバーであったり、ジダンやロナウドに日本人は公平に歓声を送った。
恐らくは、世界のスーパースターが何か月も前から紹介されて、良いプレイには拍手を送るだろうと思っている。
あのワールドカップの時は選手側から、日本人は相手国の選手でも良いプレイをすると拍手が来ると絶賛されていた。
とても成熟していて、素晴らしい事だと思う。
だから、本当は今回のリオ五輪でも、もっと世界の選手の紹介をしてほしいなぁと思っていたりする。
まだ撮影前なのに。
おいらたちは、セブンガールズを海外に持っていきたいと思っている。
その時に、どんな風に観られるだろうとか思っていたのだけれど。
ブラジル人が日本人を応援する姿を見て、そんなことはどうでもいいと思えてきた。
真摯に取り組めば、この作品はきっと繋がる。
例え、一人でも拍手をしてくださる人がきっといる。
そう思えた。
かつて、日本映画は、世界中で愛されたという。
ところが、現在は、日本映画はそこまで期待されていないらしい。
映画の事を知っていくうちに、最近の動向などを目にするようになった。
インドやシンガポールなど、他のアジア各国の方が、注目されている。
韓国映画も、中国映画も、注目されている。
個別に見れば、評価の高い作品もあるはずなんだけれど、中々、日本映画全体でみると評価が低いようだ。
何が原因かなんて、偉そうに言えない。
けれど、やっぱり、思う事はある。
ハリウッド映画、フランス映画、イタリア映画、ロシア映画。
そう言われたら、なんどなく、その映画の持つ空気感だとか、想像が出来る。
でも、今の邦画って、そういう総体としてのイメージが希薄なのかもしれないなあって。
そう考えたら、他の国の映画は、その国が持つ固有の国民性を色濃く感じるのかと思った。
日本映画は、今、「日本人らしさ」を、少しずつ失っているのかもしれない。
山田洋次監督はそこで戦っているのかもしれないなぁと思った。
ただ思うのは、かつて日本人が持っていた何かを映画にすることで、それを表現するだけではダメだと思う事だ。
今の日本人の持つ、日本人らしさって、じゃあ、なんなんだよ?と考えないと、いずれ表現方法がなくなってしまう。
武士を描いて、昭和の家庭を描いて、職人でも描けば、題材が尽きてしまう。
現代の日本というのは、様々な文化が入り込んだキメラのように見えるかもしれない。
でも、様々な文化を吸収するのが上手なのが日本文化なんだって考えた方が良いと思う。
アニメが絶賛されるのは、現代の日本人の持つ日本人らしさを、多く反映しているという側面があるんじゃないだろうか。
色々とキメラのように合成しながら、それでも日本人らしい歪みを持ってる。
セブンガールズは時代劇だけれど。
現代の日本人らしさに通じるものがいくつも入っていると思う。
海外の人が見たら滑稽でしかない日本人の面白みが、そこかしこに入ってる。
それが、うまく伝わればなぁって夢想してしまう。
リオで選手たちはどんな気分だろうか。
試合が終わって、拍手を受けて、スタンドを見た時に。
あんなにたくさんのブラジル人がスタンディングオベーションをしていることを。
勝っても、負けても。
そこにいた人から、手を叩かれたことは、きっと、大事な宝物なんじゃないだろうか。