2016年08月09日

明るい時代へ

71年前の11時02分。
有史以降最後の原子爆弾が投下された日だ。
長崎出身の体操の内村選手が金メダルの獲得をした。
デビッド・宮原にとって、長崎という地は所縁があって、何度か稽古場でその話を聞いている。
いつか長崎については書きたいと、坂本龍馬を描いた作品の長崎のシーンで言っていたことを覚えている。
何度も聞いているけれど、デビッド・宮原が大きな影響を受けた大事な方がそこにいる。
自分でどう思っているかわからないけれど、その影響を受けたことだけは、いつも話から伝わるからだ。

昨日、今上天皇による「お言葉」が公開された。
生放送でも良いと思ったけれど、やはり憲法に抵触してしまうような発言になってしまわないか。
ご本人の意向も含めてのことだったのだと思う。
おいらは、公開の時間に観るようにした。

前提としてはっきりと言えば、おいらは右翼ではないし、国粋主義者でもない。
日本という国は愛しているし、天皇制が反対という事もない。
むしろ、普段生きている中で、宮家を意識することなんて、ほぼない。
国民と共に歩んで・・・とおっしゃっていたけれど、共に歩んでいる意識自体がない。
だからと言って、嫌っているわけでもなんでもない。
天皇を崇拝する祖父がいたけれど、昭和天皇の戦争責任を追及するような人が理事の学校にも行った。
どちらにも触れているし、もっと砕けて言えば、天皇を「天ちゃん」と呼ぶような(愛はこもっている)人に囲まれたし。
「愛子ちゃん、そろそろ小学生ね」なんて(これも愛がこもっていた)会話も耳にする環境にいた。
天皇家だったら、いいもんばっか食えるのなーなんて、高校時代に言ったりもした。
明治神宮に普通に参拝するけれど、さして神道を信じているわけでもない。
なんというか、宙ぶらりんな人だ。
けれど不敬だとも思わない。

そんなおいらでもこの「お言葉」が出てくることがどれほど凄い事かわかった。
実際、こうして気持ちを発表するのは、東日本大震災以来2度目だ。
日本を象徴する存在でありながら、発言する機会などほとんどない存在だ。
評論家によっては、玉音放送に通じるか、それを超えるようなインパクトと言う人もいる。
天皇個人の気持ちなどは、想像するか、のちに残された文献で推し量るだけだった。
日本の歴史そのものを背負う運命、その人生がどのようなものなのか、想像すらできないけれど。

率直に言えば、「もう年取ってしんどいのよ」的な雰囲気を1mmも感じることがなかった。
むしろ、周囲の事ばかり気にかけていて、このままでは自分が迷惑をかけることばかり心配されていた。
ご高齢ですから、もうゆっくりお休みくださいなんて街頭インタビューも多かったけれど・・・。
実は、今上天皇はそういうことは、ほとんど口にしていないと感じた。
象徴天皇とはなんであるのか?
そのことに真摯に向き合っての「お言葉」だと、痛感した。
ちょっと、それは想像を超えていて、なんというか、不思議と大きな感動をした。
おいらのように宮家に、実際はほぼ無関心な人間は、気付くことがなかったけれど。
確かに、高齢化社会や医学がこのまま進めば、新しい天皇が70代、80代という時代がいずれ来てしまうだろう。
それは、象徴天皇というお立場にいる人にしか出来ない大きな問題定義だった。
憲法に触れないように細心の注意を払っているのもとってもとっても良くわかった。

答えから言えば、この人のいう事は信頼できるぜって思った。
愛すべきお方だ。間違いなく。
おいらは、おいら個人の印象をとても良く信じているから。
これが、伝わってくるだけで収穫だった。
もちろん、人によって、印象が違うのだろうけれど。
まったく、自分の責任から逃げないお方だ、今上天皇は。我々の象徴は。

近い将来。
このお言葉から、平成という一つの時代が終わり、新しい時代が来る。
昭和の時と同じように、平成という時代はなんであったのか、多くのメディアが検証するだろう。
バブルの崩壊に始まり、大きな自然災害が相次ぎ、経済的に苦しんだ時代だった。
別にいつもの一年だよと思うかもしれないけれど、必ずこういう年は後から気付くことになる。
節目の年だったね。と誰もが口にするような年になるのだ。
恐らく、今年、来年というのは、そういう年なのだと思う。
今、セブンガールズの映画化を目指しているのも、きっと偶然じゃない。
この時代だから、節目の年だから、おいらたちの活動の歴史、そういう様々な要因が重なっての事だ。
何かが確実に変わるよ。
その変化の真っ最中に、おいらたちは立っている。
おいらたちは、平成の終わりに立ち会いながら、昭和を映画にしようとしている。


ふと思い出したことがある。
20代の女の子が何気なく口にした言葉だ。
「あたし、てんのーって、好きなんだよねー」
・・・と、ちょっと自分の中にはないような気軽さで、おいらに言ってきたことがある。
「だってさ、かわいくね?あのおじいちゃん、いつも笑ってて」
ちょっと呆れながら、同時に、ああそういう距離感なんだなぁと感じた。
彼女は平成生まれだ。

確かに寄り添って、国民と共に生きているのだなぁと思った。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 15:41| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする