2016年07月26日

頭の中に流れている映像

打ち合わせの日だった。
プロデューサーが並び、監督がいて。なぜかおいらもいて。
シナリオの第二稿が上がったタイミング。
じゃぁ、これを本当に映像化するとしてどうやって撮影するのか。
そういう話になった。

もちろん、これは最初の企画段階からわかっていたことだ。
これをじゃぁ、そのまま映像にするとすれば何が必要で、どんな方法があるのか。
様々なアイデアを駆使しないとダメだし、信じられないようなこともいくつか重ならないといけない。
ましてや、現代劇ではないし、単独主役ではなくて、群像劇なのだ。

おいらの中では、監督が稽古場や普段話している内容から、なんとなく見えていた部分はある。
でも、ちゃんと口頭で、こうしたいというのはまだ聞いていなかったから、どう伝えるかなぁと思っていた。

結果的に、監督は、こんな映像でやる方が良いと思うんですよと言うイメージを話した。
おいらは、即座に、「それは、その方が良いと思う」なんですか?「そうしたい」なんですか?と確認した。
そして、その言葉の監督の返答は、まさに即答という奴だった。
「もちろん、そう撮影したいんだよ」
なんとなく、その方向かなぁとかではなくて、そうやって撮影したいのだという事。
映画全体に流れるテンポ感まで監督の頭の中には既に構築してあるという事。
そして、それは、やっぱり作品の方針になることなんだって確定した。

おいらは、腑に落ちた。

もちろん、それまでも、同じようなことは口にしていた。
稽古場で、ぽろっと口にすることもそういう方向だったし。
本読みの日の後の打ち合わせでも、その内容は監督なりに伝えていた。
いや、そもそも最初の打ち合わせでも、こういう方向で考えてます。こういう方向で今、書いてます。
そんなことは言っていたのだけれど・・・。
それが、今日、はっきりと撮影方針に確定したという事だ。

2時間以上の打ち合わせを終えて。
監督と二人で喫煙所に向かう。
監督は最初からブレていない。
芝居にかかってるんだ。芝居を撮影したいんだという事。
そして、この撮影方法は劇団だからこそ出来ることなんだという事。
この映画のテンポ感を大事にしている事。
そういう話をしていた。

おいらは、監督に、この話は8月に入って演出に入る前でもいいので、役者に話してほしいと伝えた。
そんなの言わなくても、役者はわかってるかもしれないし、流して聞く役者もいるかもしれないけれど。
それでも、やっぱり、話してほしい撮影方針だとおいらは思った。
いわゆる普通の映画を観て参考にしている役者もいるし、イメージしている役者も多い。
そのままでは、何かがずれていくような気がするんだな。
デビさんの頭の中の映像を口で全て説明するのは実は不可能なんだけれども。
もうそれは出来上がればわかるだろ!って話ではあるのだけれど。
でも、おいらは、この人のこのセンスを誰よりも信頼していて、その期待がマックスになったから。
共演する仲間たちにも、この方針をもう一度理解してほしいなぁって思った。

喫煙所で、何本の煙草を灰にしながら。
デビッド・宮原の映像撮影の、おいらにとっての最初の体験の話をした。
もうカレコレ15年ぐらい前になるのかもしれない。
初演の「ヒーローMONO」という舞台作品。
劇場にたまたまプロジェクターがあったから、オープニングで映像を流したいと突然言い出した。
劇場で撮影できるものなんか限られているし、編集環境もないのに、何を言い出すんだよと、戸惑った。
それでも、ずっと、この人がやりたいという事は、無茶だと思えることもなんとか準備したつもりだ。
だから役者を集めてカメラを準備して、段取りを組んだ。
そして、一発録り、ワンカットで、しかも登場人物が全員登場する動きのある撮影をした。
結果的に、その映像は舞台本番で流れ、大好評だった。
はじめてデビッド・宮原が、映像を作成している姿を見て、おいらはつくづく思ったよ。
準備している間は、そんなの無理だよと思わされるんだけど。
頭の中に流れていたその映像を観て、納得させられちゃったんだ。
あの映像には、監督の映像への根本的な何かが詰まっている。
あの時のような頭の中の映像をそのままアウトプット出来る環境があれば。
また、きっと、おいらたちは驚かされるだろうと思う。

もちろん、まだまだ課題がある。
来週には美術監督や美術スタッフとロケハンに向かう。
監督も来てくれる。
結果的に、ここでは無理だねとなれば、もう一度、撮影現場を探さなくてはいけない。
ひょっとすれば、用意した廃材も、朝陽館の建具や装飾品も半分以上無駄になる可能性もある。
でも、それはどちらでもおいらは構わない。
監督や、美術監督が、そこでイメージを共有できるのかできないのかだけがおいらの判断基準だ。
どちらかが、違うなら、おいらはあっさりと次に向かう。全然それでも構わない。
多分、良い作品を創るのは、何かを共有出来た瞬間だからだ。
覚悟の上だ。

帰宅後、少し休んだら寝てしまった。
起きて、作業に入ると。
音楽監督の吉田トオルさんからメッセージ。
その場で、第二稿を転送した。
気にかけてくださっている。
それも、打ち合わせの夜なんて言うタイミングで。

そうさ。
もしかしたら、本当の意味で、今日から動き出したって事なのかもしれない。
監督はシナリオを書いていたし、おいらはおいらで、色々な準備を重ねてきたけれど。
方針が決まることは、チームとしての第一歩なのだから、チームとして動き出したのは今日からなんだ。

進め、進め!
この一歩がいつか、歩みとなり、駆け足になり、ダッシュになる。
気合で乗り切れないこともあるけれど、情熱だけは持っていなくちゃ駄目だよ。
それが、絶対にここぞという場面で効いてくるから。

改めて、おいらはそう感じている。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:54| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする