2016年07月18日

幹に流れる水

第二稿があがる。
これをプリントアウトして配れば、次のシナリオが最終的なものになるだろう。
ロケハンの日程の最終調整も迫っている。
ロケ地が本当に確定するのはロケハン後だ。
もし、確定しなかったら、更に撮影場所についてそこから探すことになる。
そうなると、かなりのオオゴトになりそうだけれど・・・。
まだまだ多くの壁が待っている。
若さの勢いと、ベテランの熟慮と。
両方を兼ね備えて、勧めたらなぁと考えている。
映画製作に関しては初心者だから知らないことも多いけれど、その分、勢いがある。
作品製作に関しては20年以上やってきたのだから、その分、経験もある。
そのバランスを自分の中で大事にしていかないとだ。

稽古をする。
芝居をして撮影をして、それを観る。
その繰り返しの中。
今日は、何度もデビッド・宮原監督が首を横に振る日だった。

印象に残ったダメ出しは二つ。
「悪くないけど、良くない」
「感情は出来ているんだから、どう見せるかだよな」
この二つが、稽古内容の全てを物語っている。

やっている本人は、首を横に振られて何度もやるのだから実は恥ずかしい。
皆が観ているのだ。
全員の前で、イマイチだと言われるのだ。
その上、何度も何度もやるのだから。
それが10代の芝居を始めたばかりの役者なら、当たり前だけれど。
30代40代の20年近い経験の役者なら、違ってくる。
実際、おいらだって恥ずかしい。
しかも、そのダメだと言われた映像を全員がモニターでチェックするのだから。

でも、そこはツッパラカル。
ツッパリって奴だ。
恥ずかしいけれど、恥ずかしいなんて臆面も見せない。
今回の稽古では最初の金子さんから、皆、ツッパラカリきった。
恥ずかしい事なんか、今まで何度も何度もあった。
でも、今、恥をかくことなんか、どうということもない。
最優先は、撮影の日にベストを出せるかどうかだ。
それを逆に何年も恥をかいたり、舞台に立ってきたからわかっている。
そこでつまらないプライドが前に出て来たら、そこで成長は終わる。
どん欲になんでも自分のものにした方が良いに決まっている。
恥ずかしさだけ、ツッパッテ吹き飛ばしてしまえばいいだけだ。

後半、デビッド・宮原監督が、やりたいところ言っていいよと言う。
おいらの中でやりたいシーンは2~3ある。
誰も言い出さないから、何か言おうと思った。
ここはやりたいなぁというのがあるんだけど、そこじゃないシーンを伝えた。
自分が一番やってみたいシーンは一人でも稽古できるし、もっと先で良い。
それよりも、ここはやっぱりお客様の心が動かないといけない。
ここのリアクションは微妙だし、作品のテーマにも直結している。
そういうシーンをやりたいと提案した。

ふとしたリアクションだけでは成立しない部分もあるシーンだから、それまでとはちょっと違ったかもしれない。
全体で組み立てないといけないし、共有したイメージも、役の個性も必要なシーンだ。
自分も絡んでいるし、舞台では、お客様が息をのんで、涙を流す人もいたシーンだった。
もちろん、本番ではいくつかのカットに割るだろうけれど、今日は1カットで稽古をした。

結果、モニターを観ても、舞台ほどの感動がなかった。
心の動きも伝わってこなかった。
おいらが映画館にいても、これじゃ泣かないなと思った。
悪目立ちするリアクションが不自然な役者もいた。
ここが成立しなくちゃ、作品全体に関わるぜっていう場所だ。
最後にやった稽古だから、それぞれ持ち帰っていると思うけれど。
出来れば、来週もやらせてほしいなぁと思った。
それぞれが持ち帰って、何を捕まえてくるかで、大きくこのシーンは生まれ変わると思う。

個々のエピソードも濃い作品だけれど。
作品全体に関わるような、全体的に物語が動くシーンを重点的にやるべきなのかもなと思った。
枝葉は、幹さえ太ければ育つ。
幹での表現が、個性を創っていく。
軸がしっかりしているからこそ、個々のエピソードを好きな人が出来ていく。
やりたいシーンを聞かれることがあったら、積極的に提案していこうとつくづく思った。
今日のシーンが成立しなかったら、この作品自体のクオリティが一段下がる。
そういう作品的な動きのあるシーンをどんどん稽古していきたいなぁと強く感じたからだ。
今日までの稽古の、応用編になってきたなぁとも思った。

時間は限られている。
準備は出来ればできるほどいいなんて言っていたけれど、もう7月に入ったのだ。
太い太い幹を創ろう。
十二分に枝にエネルギーを送れるような幹だ。
そうすれば、葉も開き、花も咲くさ。

恥をかくぐらいなんだってんだ。
今、悩んで苦しんで恥ずかしい思いをするぐらい。
全てはその日に向かっているのだから。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 14:10| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする