夕方の速報には本当に驚いた。
今上天皇が生前退位の意向なんて・・・。
想像もしていなかった。
その日のうちに宮内庁から、否定する発言が出てきたことにまた驚く。
NHKの速報だったのに・・・。
宮内庁の発表ぐらいでは、この報道は止まらないと思う。
明日の朝刊は、どこも一面を飾るんじゃないだろうか。
それどころか、あっという間に、世界中で報道されるだろう。
もし、本当なら、素晴らしいご英断だと思う。
昭和の時代の映画を製作している中で。
まさか、平成が終わる話が飛び出してくるなんて・・・。
落ち着いて考えれば、当然、それが起こりうることなのだけれど。
幕末期、天皇という存在が劇的に変化した。
おいらは幕末の舞台を演じる時に、その多くを知ったけれど。
明治維新以降、終戦まで、天皇という存在は、神であり王になった。
そして、終戦後、象徴になった。
ただ、世界中にある王室とは少し趣が違う。
王というよりも祭祀であるという事だ。
意外に知らない人も多いけれど、天皇陛下は宮中祭祀を公務とされている。
つまり、この日本という国の為に、祈り続けている。
全国にある神社の総本山が皇居であり、その祭祀が天皇だ。
王や象徴などの側面ばかり見られるけれど、本質は祭祀だ。
もちろん、それは宗教的な教祖であったり、神本人であったりとも違う。
あくまでの、祈りを捧げる力を持つという事だ。
幕末期に劇的な変化をしたけれど、祭祀という側面だけは幕末以前、はるか太古から続いている。
歴史上様々な権力闘争に巻き込まれてきたこともあるから。
もちろん、議論が必要になるのだろうけれど。
個人的には、現代に即した素晴らしいご英断だと思っている。
ご高齢で宮中祭祀に差しさわりがあることを気にされているとの報道もあった。
象徴としての側面だけであれば、公務の殆どは、減らしたりすることが可能だとも思う。
ただ祭祀としての側面を考えれば、ご高齢では大変な事があるだろうなぁと思います。
この報道が本当であれ、嘘であれ。
・・・こんな大ニュースを根拠なくNHKが報道するとはどうしても思えないけれど・・・
いよいよ、昭和が「時代」になる時が近づいていると強烈に感じた。
明治時代、大正時代と言うけれど、まだ昭和時代なんてあまり聞かない。
精々、平成生まれに、昭和臭いだなんて馬鹿にされるぐらいだ。
それはそうさ。実際に、昭和生まれがまだまだ現役で頑張っているのだから。
でも実際には、戦前戦中戦後を知る人は、どんどん少なくなってきている。
昭和時代と呼ばれるようになるのは、もう時間の問題なのだなぁ。
おいらたちは、今、時代を生きているという実感がない。
幕末は・・・明治時代は・・・大正時代は・・・
そんなことを口にするのに。
いざ、自分の生きているこの時代をそれほど意識しない。
でも、実際には今も「○○時代」になるんだなぁ。
何もしていないようで、きっと、何かを作っている。時代的な何かを。
そういうスケールで物を考えるきっかけになった。
昭和時代の作品を、製作してるんだな。
そう、おいらは思った。
現代は、時代になる。
そして、誰もがその一部だ。
いずれ誰もがあの時代に生まれたかったと羨むような時代にしなくちゃなぁ。
今が、時代になる前に。