余りにも暑い日が続き、髪を切った。
おいらは、あまり髪を切らない。
突然、時代劇になったりして困った経験があるからだ。
切っちゃった後に作品が決まって、ほとほと、悩んだことがある。
その時は、もう養毛剤と、養毛シャンプーを毎日使って、頭皮に刺激を与えて。
たんぱく質を豊富に摂取して、少しでも早く伸びるように頑張った。
本当に希望するぐらいまで伸びた時は、ちょっと驚いた。
だから、自分の役が確定したりするまでは、中々、切らない。
とは言え、この暑さ。
撮影も決まっていること。
役もほぼ確定に近いこと。
色々考えて、一応、監督にも切りますよ、もうと伝え。
やっとこ、切った。
当たり前の事だけど、終戦直後の頃、男はほぼ短髪だった。
軍人であれば、部隊章が上であるほど短くしていた。
国家総動員法の頃には、国内でもほぼ短髪だった。
敗戦後も、シラミが湧いたりするから、基本的に短髪。
まぁ、そもそも長髪というのが珍しかったうえに、そういう理由もあった。
だから、当時の写真を見ると、ほぼみんな短髪で、坊主頭も珍しくはない。
ファッション感覚なんてものは、物がなかったら、ないだろうけど。
衣装を思い浮かべて、セットを思い浮かべて、芝居をして、映像を観る。
その時に、なんか、髪の毛があると違和感があった。
なるべく前髪が落ちてこないようにしてやっていたけれど。
子供の頃、坊主頭で元軍人のおじいちゃんに会いに行ったら。
おじいちゃんは、なんだか、いつも褒めてくれた。
子供は坊主頭の方が良いといつも言ってた。
未だによくわからないけれど、最近は坊主頭の坊主も減ったね。
坊主らしい坊主。
子供の世界でも、おしゃれじゃないと、色々言われちゃったりするのかな。
本番前に、まだ髪を切ることになるだろうけれど。
少しだけ、役に近づいたような気分だ。
そういえば、監督は、斬ったついでに、○○行って来れば!なんて言ってたけれど。
おいら一人の都合ではなんともならないだろうしな。
少しだけ見た目が、当時の人に近づいたよ。
それだけで、なんというか、ノリが変わってくる。