謙虚であることは素晴らしい。
慎ましいことは素晴らしい。
真摯であることは素晴らしい。
どれもこれも、全て正しい。
当たり前の事だ。
謙虚で、慎ましく、真摯な姿勢。
これから撮影に向かって。
今、学べることを全て学ぼうという態度。
全てが良い方向なのかもしれない。
何よりもまず、自分がしっかりすることが一番の近道だ。
ただ一つ。
自信はあるべきだ。
無論、練習を重ねることで自然と身に付く自信でもある。
繰り返し同じシーンを演じることで出来る自信でもある。
根拠ある自信だ。
ただそれだけではない。
今日まで続けてきた自信。
多くの人が映画化を応援してくれた自信。
楽しみに待ってくれている人がいる自信。
それを忘れちゃいかん。
自分を信じることは、大事だ。
おいらは、自信がある。
自分に対してだけじゃない。
ここの連中に対してだ。
こいつらは、凄い。
こいつらの持っている能力がきちんと出れば、充分に戦える。
それだけの事を、今まで積み重ねてきた。
充分な貯金がある。
その貯金を持って。
その自信を持って。
その上で、学べるといいなと思う。
学んで身に付く自信も、そこに加わればいいと思う。
そうやって、自信のある状態で作品に挑んで。
最後の最後に効いてくるのは、意外と、根拠のない自信だ。
俺に出来ないわけがない。
たったそれだけ。
演じ切ることが出来るのは、もう根拠も外れちゃった時だけだ。
そこに辿り着けば、そこから先は、楽しい時間だ。
むしろ、撮影を楽しむことだって出来るようになるはずだ。
笑いながら撮影に挑む。
自分の歴史で得た自信と、練習で得た自信を越える。
やれるかな?とかじゃなくて。やったるわい。
もう、根本的な。
おいらは自信がある。
この作品が良くなるという自信だ。
この監督を熟知している。
この俳優たちを熟知している。
こいつらが、やりきったら、とんでもないことになるという自信だ。
バンド活動をしていて。
ライブハウスの楽屋からステージに向かう時。
散々練習してきたこととかが、全て吹き飛ぶ。
アドレナリンが充実していく。
さあ、やるぞ!というモードになっていく。そういう経験を重ねた。
リハがなければ、もちろん持てないんだけど。
リハで得た自信とは完全に違う、もう存在そのものへの自信だった。
そこに自分が立っていい。そこに自分が存在してもいい。
全てが、何かに収束していくような感覚だった。
あの感覚で挑みたい。
その為の稽古でありたい。
稽古でしくじったぐらいで、自信を失う事がないように。
練習は練習なのだ。
謙虚であり、慎ましやかであり、真摯でありながら。
なお、自信は失わない。
そうありたい。
そうでなければ、稽古から自分で取捨選択することは出来ないだろう。