夏至だ。
満月だ。
一年で最も太陽が長く出ている日。
その日に満月になるのは、単純計算で30分の1という事だ。
夏至の満月は20年ぶりになるそうだ。
昼も夜も、太陽と月の光に包まれた日だという事だ。
夏至はいつも6月だから、梅雨時が多い。
どうしても、夏が来たなぁと思えるような日が少ない。
少ないけれど、明らかにここから夏が始まる。
今日まで、いくつの夏を越えてきたんだろう。
色々な夏があった。
今年の夏は、どんな夏になるか。
想像はするけれど、想像しか出来ない。
まったくどうなるかわからない。
そんな夏の始まりが。
夏至と満月が重なるなんて、なんて特別なんだろう。
光に包まれた日なんて、なんて美しい響きだろう。
こんな日で始まる夏が特別じゃないわけがないじゃないか。
星はね。
学問そのものだった。
季節も、時間も、方角も、全て、星から人類は学んだ。
星から、月から、時を読み、運命まで読んだ。
数学が生まれ、芸術も、文学も、たくさん、星から生まれた。
だから、一番星の出る夜が短い日にも意味がある。
占星術にとっては、特別な夜なんだろうなぁ。
今日から少しずつ、日の出ている時間が減っていく。
秋分の日に折り返して、冬至の日に、一年でもっとも夜の長い日がやってくる。
古来から、人間はそれを知っていたし、それを参考に種をまいたり、収穫をしたりした。
2月の満月の日に。
この映画化計画の実現が決定した。
あの夜の月は格別だった。
今年は月と歩いているのかもしれないな。
子供の頃に聞いたよ。
なんで、お月様はずっとついてくるの?って。
車から見ても、電車から見ても、他の風景と違ってお月様だけはずっと一緒だった。
あの時、お父さんはなんて教えてくれたんだっけ?
なんだか、よく覚えていないや。
ずっと、遠くにいるからだよって教わった気がするよ。
ずっと遠くにいるけれど。
いつも一緒にいてくれる。
お月様ってまるで。まるでじゃないか。
夏がやってきた。
暑い暑い夏だ。
輝きに包まれた日に。