本読みであった。
全体の尺を確認する。
スタッフさんは、急遽、本読みには間に合わなくなったのでビデオを回す。
テンポ感などは伝えなくてはならないからだ。
本読みをしている最中に、各スタッフさんからメールが届く。
自分の出番のタイミングを読みながら返信を重ねる。
予定していた打ち合わせには間に合うという。
古賀P、製作の松川さん、美術助手になる齋藤さんが到着する。
簡単な自己紹介。
時間に余裕があればもっとちゃんとするべきかもしれないけれど。
時間と人数を考えれば、簡単にで良い。
キャストが決まったらキャスト表を渡して、俳優の写真も添付しなくちゃだ。
顔と名前と役が一致すれば、その後の打ち合わせも早くなる。
●●さんのあのシーンですけど・・・と、即座に出るようになった時。
打ち合わせは確実にスピードを増すはずだから。
そのまま打ち合わせる。
初稿が出来て初の打ち合わせ。
全体のスケジュールの確認と、今、必要なコト。
初稿から、変更が必要ないくつか。
用意した資料も渡す。
今後、継続的なミーティングも決める。
実際に会うか、もしくは、ネット会議を利用することになった。
定例会議の発足だ。
その後、メンバーが増えていくこともあると思う。
そのまま、既に飲んでいるメンバーと合流。
齋藤さんも一緒に。
齋藤さんに、稽古ではどんなイメージのセットで稽古をしているかなども伝える。
小道具の準備方法なども確認したり、かなり有意義な時間になる。
建具、家具、装飾品は、ある程度の数、揃っている。
ここからは、小道具の準備も考えなくちゃいけない。
齋藤さんは、劇団前方公演墳の美術を杉本さんがやってくれるようになった時。
最初の最初についてくれた方だ。
当初はそんなには劇場に来れない筈だったのに初日から毎日来ていた。
むしろ役者よりも早く来て、汚れた箇所をペンキで毎日修正していた。
持っていたスマホもペンキだらけ。
20代の女の子なのに、すごく一生懸命だった。
おいらたちは、毎日、飲みの席にお誘いして、色々な話を聞いた。
その会話の中で。
いつか映画の現場で、みんなで一緒に作品を創れたら面白い現場になるだろうなぁ。
そんなことも話したのを覚えている。
その時は夢物語だった。
舞台は初めての経験だったから、役者がセットの設営まで手伝う現場なんて初めてだったと思う。
映画の現場でもこんな感じで、一緒に作品を創れたら面白いんだけどな。
そんな風に思った。
今の齋藤さんは、一人で現場に行くぐらい経験を重ねている。
もう後輩もいるし、顔も広くなっている。
聞けば、様々なノウハウを持っている。
あの時の一生懸命のまま、今日まで仕事を経験してきた。
だから、今回の映画でご一緒できるかは難しいと思う。きっと。
他の現場との兼ね合いになるだろうし、同時進行の仕事もあるはずだから。
今回、ご一緒出来たらいいのになぁって、飲み屋で本当に思った。
ほっぺたにペンキをつけて、皆でセットを組めたら、楽しいだろうなぁ。
早い時間から飲んでいたメンバーと合流した後。
終電ギリギリの時間まで一緒に飲んだ。
映画とは関係ない話も笑ってした。
初めて付いてくれた日から、何も変わってない。
結局、齋藤さんもおいらたちも、良い作品に巡り合って、良い作品に少しでも近づけたい。
ただそれだけで、あんなに笑っているのだ。
関係ないような話も、結局、全てが繋がっている。
多分、初めて会った日は、頭のおかしいおっちゃんたちが集まってる異様な集団だっただろうになぁ。
現場に来れるかどうかとかじゃないな。
この作品に向かう気持ちは通じている。
終戦直後の写真集を資料として、自分で買ってるんだもん。
もう、参っちゃうよ。
創るぞ。
創るしかない。
よおし!!