ふと見ると、警官がいる。
街角で、駅のホームで。
伊勢志摩サミットが近い。今週末だ。
主要国首脳会議。
世界でたった7か国の先進主要国の中に日本がいる。
たくさんの幸せや夢が現在の日本にはある。
自分の将来を自由に語ることが出来る。
有名スポーツ選手は世界で活躍して、子供たちに夢を持てと口にする。
格差社会なんて言われても、世界から見れば、殆どが富裕層。
そういう国だ。
当たり前のように数十キロを電車で移動する。
都心ではなくても、駅前にはビルが立ち並ぶ。
深夜でもコンビニエンスストアが明るい光を灯している。
舗装されていない道路なんて見かけない。
数年後にはオリンピックを控えている。
ただ一方的に、この繁栄を享受してももちろん良いと思う。
芸術、文化に生きることがどれだけ幸せな事なのか。
知らなくてもいい。
自分の悩むべきことを悩み、苦しむべきことを苦しみ、進めばいい。
そして、また新しい何かを見つけていけば良い。
だけど。
美しいこの街は、誰かが血を流した、涙を流した、そんな街だ。
いつか、どこかで、気付く。
知る。
芸術も文化も花開くには、繁栄が必要なことをどこかで知る。
オバマ大統領の広島訪問が決定した。
沖縄の問題も注目されている。
アメリカの次期大統領選では、過激な発言のトランプ氏が、日本撤退をぶちあげた。
関係ないよ、そんなことはと、自分のやるべきことにだけ集中してもいいけれど。
状況は変化するし、社会情勢も変わっていく。否応なく。
芸術、文化は常に時代性を孕んでいる。
普遍的な何かを創ろうと目指す。
それでも、残念ながら、どんな作品にも普遍性なんて目指すことはできない。
結果的に普遍性を身に着ける音楽や絵画、彫刻は確かにある。
でも、それが本当に100年後も200年後も評価されているかどうかなんて誰もわからない。
目指してできるものではないのだ。
作品は常に現代の写し鏡になる。
「セブンガールズ」は現代の物語だとおいらは考えている。
舞台設定はもちろん、終戦直後だ。
もう70年近く前の話。
その頃の記憶がある人もどんどん少なくなっている。
子供の頃に聞いた話をしてくれる親戚も、どんどんいなくなってる。
終戦直後という時代も、いずれ、神話の時代になってしまう。
そうなったときに、終戦直後を語るとすれば、現代と照らし合わせてしか表現できない。
当時の真実を知る人がいない以上、証言や記録から、現代人が表現するしかないからだ。
エンターテイメント作品であってもそれは変わらない。
伊勢志摩。
神話の舞台だ。
俳優の神様も伊勢神宮にはいる。
そこでサミットが行われる。
夏季オリンピックも、今年はリオで開催される。
たくさんの人たちにとって、忘れられない一年になる。
節目の年になるのかもしれない。
そんな現代が、「セブンガールズ」にはきっと反映される。
それはもう無意識のレベルで。
或いは俳優の肉体感覚が現代なのだから、目に見えるものそのものが現代とも言える。
そして、そんな現代から。
繁栄した現代から、何もなくなった終戦直後を照らし出す。
今年撮影することになったのは意味がある。
きっと、公開するタイミングにも意味が出来る。
そう思っている。
忘れられない年になる。