2016年05月21日

ルールより大事なもの

沖縄でアメリカ駐留軍軍属の男が女性を襲って捕まった。
軍属に関わらず、最低最悪の事件だ。
なぜここまで報道されるのかと言えば、軍属の場合、日本の警察が逮捕することが出来ない場合があるからだ。
場合によっては、アメリカでの裁判になってしまい、日本ではどうにも出来なくなる。
今回の事件は可能だと判断し逮捕したと報道されている。
そんなやりきれない事件が、今まで何度となく繰り返されてきた。

男が女性を襲い死に至らしめるという事件は何も軍属や兵士に限ったことではない。
今までもそんな事件は何度となく繰り返されてきている。
絶対に許してはならない事件だし、そのために、司法がある。
どんな人間にも罪を犯す可能性があるし、逆にアメリカ軍にも良い人はいる。
一定数の、罪を犯す可能性のある人間がいる限り、司法の手が届かない人がいるのはなんとかならないのだろうか。

終戦直後。占領下は、もっとひどかった。
占領軍は、人を殺そうが女性を犯そうが、当然自治権のない日本で裁くことが出来なかった。
占領軍内の裁判でしか裁かれなかったわけで、信じなれないような強姦事件の数が記録されている。
占領軍だけにとどまらない。
戦中からいた、在日の各アジア人も、敗戦国日本の国民ではないから、裁く機関がなかった。
闇市を仕切っていたのが、在日別国籍の組織で、それが愚連隊になり、日本のヤクザと抗争を繰り返し、暴力団に発展すらしている。
それは、現在の暴力団にも繋がっている。
司法の手が届かないというのはそういう事だ。
悪いことしても裁かれないのだとすれば、悪は自由に増長していく。
信じられない事だけど、警察機関と銃撃戦をしたという記録まであるのだ。
そんな人ばかりだったわけではないけれど、そういう人もいたという意味でだ。

もちろん、今の憲法や民法が完璧だとは言えないけれど。
司法が完璧じゃない一時期というのが、終戦直後だ。
小説でも出てくるいわゆる「戦後のどさくさ」という奴だ。
戦後のドサクサは、現在に至るまで、様々な痕跡を残している。
それこそ、ここからここまでは、俺の土地だ!と言い切って、そのまま土地成金になった者だっている。
物不足の中、横流しをして、流通大手になった企業だってある。
地元の闇市の用心棒から、政治家に成りあがった人も本当にいる。
様々な仕事と仕事を繋ぐプロデューサーのような口利き屋が、ゴト師と呼ばれるビジネス界の大物になったりしている。
自治権を回復するまでの期間。
日本は、その長い歴史でも類を見ないほど、どろどろの混沌の中にあった。

その中で、もちろん、成り上がりたいという者もいたけれど。
その殆どが、今日をどうやって生きていけば良いのか悩んでいる人が多数だった。
或いは、家族のために、或いは、仲間のために。
良心で必死に生きている人が殆どだったことは間違いがない。
或いは、復興を目指す人もいたし、自治権の復活を目指す人ももちろんいた。
不合理な無法地帯に一定のルールを目指す人もいた。
地元の日本ヤクザによっては、警察機関の代わりに、真知の治安を守る団体もあったという。
悪意や欲望、野心も確実にあったけれど、国民の殆どが再び訪れるであろう平和な国を目指していた。

全てが現在に繋がっているけれど。
敗戦のショックの後、日本は試されたのだと思う。
ある一定数の悪はどうやったっている。
それを取り締まる司法がなければ自警団を作る。
食べる物がなければ、地方に足を伸ばす。
仕事がなければ自分たちで仕事を創る。
この国がどんな方向に進んでいくのか、その時期に浮き上がってきた国民性が方向づけたのだろうなぁと。

つまり結局は、司法でも法律でもない。
人が人の中で持つ、良心や道徳観こそが、本当の平和を生むという事だ。
例外は必ずあるけれど、それが例外であって普通ではない限り、一定の規律は続く。
司法も法律も必要だけれど、それはあくまでも線引きでしかない。
それを悪用しようとする人間がいた時に、悪用できないように直していくだけのものだ。

今、沖縄米軍の中にも、そんな良心をもった人がいて、胸を痛めているだろうと思いたい。
完全な根絶は不可能だとしても、これが恥ずべきことで、なくすべきことだという理解を広めてほしい。
こんなことは、例外なのだと思いたい。
なんとかアメリカでの裁判にしようなどという動きだけは見せないでほしい。


もう占領されていないもんな。
そんなわけないもんな。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 18:13| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする