2016年05月11日

間抜けの構造

先週作成した小道具にNGが出たので再度作り直さなくてはいけない。
今週はもう無理かもなぁ。
いつ頃手を付けるか・・・。
忙しくなる前に、少しでも多くクリアしておきたい。
どう考えても、撮影時期が迫るほど、忙しさが増していくのは目に見えているのだから。

ただNGは出たけれど、収穫はあった。
少なくても、作成した小道具を見て、デビッドさんは、本物だと思ったのだ。
だから、作った方が早いから、買わなくていいって!って言ったのだ。
いや・・・・だから、これが作った奴です・・・。
・・・と、伝えたら、ええ!?これ、作ったのか?と。
ふむ。意外に行けるかもしれないと思った。
そして、求めている物も聞けたから、前回よりはイメージが掴みやすい。

そしてもう一つ。
この小道具の下敷きにするために、100円で本を買ってきたのだけど。
その本が、とてつもなく、ためになった。
面白かった。
なんだ、もっと早く読んでおけばよかったなぁって思うような内容だった。

「間抜けの構造」
ビートたけしさんの本だ。
たけしさんが、「間」について、考えている本。
やがて「間」は、お笑いから、役者論、映画論に至るまで広がっていく。
お笑いで「間」を学んだたけしさんが、映画にそれを生かして、ヴェネチア国際映画祭でグランプリなのだから。
それが、面白くないわけがない。

おいら、わりに、お笑いのネタ番組や、バラエティ番組は見る。
好きだからっていうのもあるけれど、やっぱり、どこか冷静に観ている自分もいる。
最近のバラエティはテロップが出て、派手に編集されて「間」を潰されているけれど、それでも、やっぱり面白い。
ここしかないっていう、絶妙な間を探し出している作業に、普通にはらはらする。
下手な芝居やドラマを観るよりも勉強になることが多い気がする。
場を作って、キャラを立てて、ひっくり返して、落ちを創る。
その作業を、絶妙な間と切り回しで成立させていくのだから。
たけしさんが、笑いで見つけた「間」が世界で通用したというのは、とてもよくわかる。

もちろん、日本のお笑いが世界で通じると簡単には言えない。
やっぱり言語の壁は高い。
漫才みたいに言葉だけのお笑いであれば微妙なニュアンスが伝わらない。
落語だって、厳しいと思う。
それでも、そのお笑いの中にある、テンポ感や空気感、お客様とのやり取り。
それは、世界にも持って行けたという事だ。

たけしさんは、本の中で、常に客観的視点を持ってた。
自分を俯瞰していた。
それは、やはり、浅草のストリップ小屋の時代から、ステージで実際にお客様の前に立ち続けたからだと思う。
客席にもう一人の自分の視点を置くという作業を舞台を繰り返すとするようになる。
たけしさんのスタイルは、お客様の空気を読みながらのスタイルだから、余計に気にしていたと思う。
その客観的視点が、そのまま映画監督になって生かされているのだなぁと感じた。
考えて見れば、お客様の前に立ったことのない役者がいるというのがとても不思議だ。
舞台をやってきたおいらには、少し意味が分からなくもある。
客観的視点を、映像だけの俳優はどこで体得していくのだろう。
モニタチェックで確認していくのかなぁ。

役者論も面白かった。
強烈だったのは、芝居合戦とかやめてくれって書いてること。
監督としては、作品に準じてほしいという部分があるのは当たり前だけど。
そして、役者のエゴは、エゴで認めているし、素晴らしいとわかっている前提でだけど。
そういうことではなく、芝居合戦で壊れるものは、こういうものだと冷静に分析していた。
どっちが大事なんだい?って話だ。
この本のテーマの「間」のことだ。
芝居合戦は、狙っている「間」を外していってしまうんだということを丁寧に書いてた。
とてもわかりやすかった。

プライオリティの問題だ。
シナリオの全体感を掴んで、読み込んで。
自分がこの作品で果たすべき仕事を見つける。
重要なのは、まず、その仕事を果たすことだ。
自分で自分に縛りやルールを見つけ出すこと。
そして、そのルールの中で、自由を見つけることなのだと思う。

間抜けにはなりたくないものだ。

「間」とは、時間だけの問題じゃない。空間だけの問題でもない。
・・・どちらにも「間」の字が入っているのだから、当たり前か・・・
「行間」がある。「人間」がいる。
間が抜けちゃったら、ただの時で、ただのカラで、ただの行で、ただの人だ。
そういう全てにあるということだ。
そして、主観的過ぎると見えなくなる。
客観的視点でしか、見つけられないものだ。

面白い課題だなぁと、そこを中心に芝居を思ったりしている。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:17| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする