どういうわけか様々な連絡が多方面からあった。
今、おいらは少しクラクラとしていて、どうすればいいんだ?って事にも直面している。
色々な壁がやってくるのは覚悟していたし、大変な事はわかっていた。
もちろん、今までもそういう場面には何度もあった。
そのたびに、もがいてもがいて、なんとか前に進んできた。
だから、そのことを苦に思うようなことはない。
ただ、なんとかしようと、じりじり前に進む以外にやれることなんてないからだ。
それでも、やはり少しだけ心が挫ける。
いや、おいらが挫けちゃいけないのはわかっている。
企画そのものをスタートさせた責任がある。
絶対に挫けちゃいけない。
わかっていながら、少しだけね。
ほんの少しだけ、ああ、参ったぜと、ため息をつく。
今日は色々なことが重なったから、ちょっとだけ心が重くなったのかもしれない。
大抵の時は、なにくそ!ってもう一度踏ん張るところを。
大きなため息が逃げていった。
なあに、今だけさ。
すぐに、また、例の小野寺さんが帰ってくる。
頼ってしまって申し訳ないなぁと思うけれど。
クラウドファンディングのページを開く。
コレクターのタブをクリックする。
211人の支援してくださった皆様の名前が並ぶ。
9ページに及ぶ、皆様の一つ一つの応援コメントを読むのだ。
拠り所。頼ってしまう場所。
これだけの人たちが、おいらが始めた企画に賛同して、応援して、それどころかコメントまで残してくれている。
まだ達成するのかもわからない初期の頃、達成を信じているというコメントがあったりする。
達成して実現した瞬間のあの思いを忘れようがない。
企画を始めた責任なんて、応援してくださった皆様の思いに対する責任に比べれば、空気みたいなものさ。
役者という道に入って今日まで、何度も迷子になった。
もう、どうにでもなっちまえなんて思った日もあった。
悔しくて、かと言って泣く場所もなくて、何かに当たったこともあった。
そういう日々が今の自分を形成した。
その今の自分が参りそうな時に。
あんなに孤独だった、ひとりぼっちだった自分に今になって教えてあげたいよ。
ほら、見てご覧。こんなにもたくさんの人が応援してくれるんだよ。
苦しんだり、自棄になったり、いつも一人でキリキリしていたね。
頑張っていれば、必ず、それを誰かが見てくれているんだよ。
1秒だって無駄な時間なんかないさ。
全部の経験が、全部の一歩が、こんな日を呼ぶんだよ。
苦しい。
微熱気味に頭を悩ませている。
今も、2~3メールを作成しようと思ったまま、手つかずにいる。
何を書けばいいのかも、すっきりとまとまらない。
達成したあの日。
劇団員が大きな希望を胸に抱いた。
ほどくことができない絡まった糸、抜け出すことの出来ない迷宮。
そんな場所にいたメンバーすら、光を見つけた。
もう、全員が光に向かって歩いている。
この光に向かうだけなんだ。
いちいち挫けるなよ、馬鹿小野寺。
まぁ、煙草でも吸うか。
ゆっくりと、応援してくださった皆様の顔と。
希望にあふれた劇団員の顔と。
煙を揺らしながら思い出そう。
それが出来たら、もう一度、前進すればいい。
大丈夫。
おいらは、やれる奴だ。
結局、やる奴だ。
やっちゃうし、やらかしちゃう奴だ。
わかってんだ、こっちは。