2016年04月03日

劇団がベンチャーになる日

映画を世界に持っていく。
一言で言えば、なんとなく、夢のような話だけれども。
現実に日本の様々な映画は常に世界に持っていかれる。
余り良く知られていないと思うのだけれど、世界に持っていくというのは2種類の意味がある。
いわゆる、世界の映画祭に持っていくことと、世界のマーケットに持っていくことだ。

カンヌが何故世界最大の映画祭と言われるかと言えば、映画祭とマーケットが同時に開催されるからだそうだ。
世界三大映画祭の中では唯一らしい。
逆に言えば、三大映画祭でなければ、マーケットが初めに存在していて、後から映画祭もついてきたという場合もある。
映画祭はつまり一般に開放されて、その年の受賞作を選んだりする映画の祭典だとすれば。
マーケットは、世界中のバイヤーが集まって、上映する映画を探す市場という事になる。
世界中のバイヤーが集まって、様々な映画を観て、ヒット作品を探すのだ。
バイヤーの間で口コミで広がって、世界中で上映される映画もある。
今は映画館に売り込むバイヤーだけではなくて、ケーブルTVやネット放送にも売り込まれる。
映画祭でのノミネート、受賞もさることながら、例えば大物バイヤーが見染めるだけで、映画は上映機会を多く増やす。

打ち合わせで、製作プロデューサーはわりに具体的にマーケットに出したいと言っていた。
その為には、ただ、日本の娼婦の映画ですではなくて、わかりやすい売り文句が必要だと。
例えばそれは2時間ノーカット長回し!であるとか、全編完全夜間ロケ!とかわかりやすさがあるといい。
製作プロデューサーとしては、つまり出来上がった映像の販売まで今から計算したいという話だった。
そしてこの作品の最大の特色は既にあって。
「日本の劇団が、資金ゼロから支援を募って劇場用映画を製作した」という部分だという。
クラウドファンディングにも記載した、目標が、そのまま世界のマーケットの売り文句にもなるということだ。
その為には、あと何が必要ですかねぇ?そういう話もあった。
これは、アングルの話ではない。現実の話だ。

日本の小劇場という形式は、世界から見れば非常に珍しい。
どちらかと言えば、サーカス団のようなイメージに近い。
日本の小劇場は実はたくさんの問題がある。
一番の問題は経済的に成立していないことだ。
それどころか、まともに出演者へのギャランティまで考えればほぼ赤字と考えて良い。
劇場費、大道具費、照明費、音響費。
更に連日の稽古という時間拘束。
そこまで完全にまともに劇団運営できている団体などないのだ。
いや、小劇場じゃなくても、劇団が商業活動して、チケット収入だけで成り立つのは、恐らく劇団四季と宝塚ぐらいのものだ。
あれだけの大きな劇団でもチケット代は1万円弱になってしまう。
既存の新劇団体は、地方への売り興業や、年間定期をファンクラブに発行するなどして、なんとか成立させている。
それでも、小劇場はなくなることなく、今日も新しい劇団が増え続けている。
こんなことは、日本ぐらいのものだ。

少ない運営資金で、それでも作品を創るために、劇団はありとあらゆる経費の削減を行う。
例えばチラシを配るような宣伝活動も、出演者が行う。
大道具を組み立てるセットを創る、トラックで運ぶ。
自分たちでやることで、人件費を大きく削減できるからだ。
大道具作業を覚えるために大道具会社でアルバイトをしてそのままスタッフになる人も多い。
別にそんなことは当たり前ぐらいに思っている。
例えば実際に旅興行をうつプロレス団体は、若手がリングを組むそうだ。
そんなのはレスラーがやることじゃないと言えば言える。
けれど、日本ではそんなのは当たり前なのだ。
それはいわゆる「下積み」という根強い職人文化があるからだ。
極道でも、板前でも、大工でも、最初は掃除からやらなくちゃいけない。
雑務が人を育てるという考え方が、浸透しきっている。
昔、サーカス団は、団員がテント張りもやると聞いたことがある。
旅をする興業団体だから、余計な人員まで一緒に旅をすることはできない。
結果的に、ライオン使いがテントを張ったり、空中ブランコ師がトラックを運転したり、ピエロが制作をすることになる。
むしろ世界で観れば、サーカス団に近いと書いたのはそういう事だ。

今回のこのプロジェクトのすごいことは。
つまり、このこと自体が、宣伝文句になるという事だ。
自分たちで映画製作をする。
世界から見れば、それは、珍しいことであり、宣伝になるという事になる。
劇団というのは経済活動としては問題が多すぎるけれど。
逆を言えば、スモールカンパニーと考えた時に、多くの可能性があるという事だ。
インターネットが広がって、ベンチャー企業と呼ばれるスモールカンパニーがたくさん出来た。
劇団は下北沢や、よくても日本の主要都市しか回れないけれど。
映画というフィールドであれば、ベンチャーたりえるだけの機動力を持っている。
なぜなら、今まで下請けだったスモールカンパニーがインターネットを手に入れてフィールドを広げたように。
映画が世界に広がっていること、そして映像コンテンツが世界的に不足していること。
そこを考えた時に、最小構成で良質の物語を創れるのだとすれば、それは、フィールドを手にするだけで可能性を手にすることに繋がるからだ。

実は実際に最小構成の映像制作集団は既に日本には生まれ始めている。
さすがに劇団と違って、長く訓練されたキャストまでは含んでいないけれど。
そこからまだ大ヒット作までは生まれていないけれど、映画会社はホールディングスという形でどんどん支援した方が良いと思う。
絶対に、いずれ、どこかからヒット作が出てくる。
時間の問題だと思うよ。
物語はソフトなんだから、他のコンテンツと変わらないんだから、絶対に起きるよ。
まぁ、それはまた別の話なのだろうけれど。
なんにせよ、役者も含めた映像制作集団は、異例という事だ。

それなら、余計に。
日本のリトルシアターカンパニー?
どうせ、大した作品は作れないだろ?
そういう視線を大きく大きく覆したくなる。

世界で。
どこで誰の目に留まるかもわからないけれど。
新しいものが生まれようとしているよ。

劇団が物語製作ベンチャーになる。
これは、意外にすごいことだとおいらは思う。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 14:05| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする