2016年03月31日

チャーミングな笑顔

大先輩にあたる俳優の訃報が届いた。
余り連絡をしていなかったらしくて、後輩が教えてくれた。
もう20年近くお会いしていないけれど。
時々テレビでお見掛けして、嬉しい気分になってたのに。
まだ若かった。
あんなに凄い俳優が世の人に知られないままだなんて。

ただそこに立っているだけで。
ただそこで振り向くだけで。
ふふふと笑うだけで。
もう芝居が成立してしまう。
そんな俳優がいるんです。
その活動歴の殆どが舞台だっただけです。
だから、名前を書いても、知っている人の方が少ないです。

「売れる」という事は凄いことだ。それは間違いない。
そんなに簡単なことではない。
でも、「売れない」から凄くないなんて思ってる人がいるのなら無知にも程がある。
それは市販の大量生産のプリンと、その街だけで愛されているケーキ屋さんのプリンと比較するようなものだ。
ただフィールドが違うだけなのだ。
どちらもリスペクトするべきだと思う。
少なくても、おいらは、知っていて良かった。
芝居を始めた最初の頃に、あんなに凄い人たちを見つけて良かった。

未だにね。おいらなんか言われます。
劇団っていうのは、芸能人予備軍みたいに。あるいは2軍みたいに。
まぁ、何も知らないで言ってるから、そこで怒ることもないんだけどさ。
そもそも映像に興味がない舞台人もいるのに。
なんで、そんな風に思うんだろう?っていっつも不思議な気持ちになる。
・・・というか、テレビに出ているだけで尊敬するのがおかしい。
まぁ、まともに舞台で芝居やってる人ほど、そういう言葉を相手にしません。
でもね。
おいらは、やっぱり昔と比べて怒ることはないけど、地味に悔しいの。
悔しいなぁって思いが、少しずつ折り重なっていくの。
人間が出来てないんだ、まだまだ、全然。
なんか、先輩たちも含めてバカにしてるのかなぁって思っちゃうんだ。
それなら、映画でもテレビでも出てやるよ!とか思っちゃうんだ。
先輩たちに比べたら、本当にレベルの低い、低俗的な役者だ。おいらは。

場合によっては同じ舞台をやっている役者同士でも、
「でも、売れてないじゃん!」なんて言葉が出てきてしまうんだ。
芝居の良し悪しと、まったく関係ないのに、その役者まで口にしてしまう。

亡くなった大先輩は71歳だった。
子供の頃、映画を観て育った世代だ。
おいらたちの場合、テレビで映画を観たり、テレビドラマを観た世代だ。
多分、映像から受けた影響は、肉体レベルで違うと思う。
おいらの世代だと、映像をやらないと役者じゃないぐらいの反応になるのも仕方がないのかもしれないけれど。

さっき。
43歳になった。
そして芝居の世界に入って25年が経過した。
まだまだ若造です。
まだまだ未熟です。
まだまだ修行中です。
あなたの域に到達するにはあと何年必要なんでしょう。

おいらは小僧で。
音響をやったり、仕込みを手伝ったり。
ついに、一緒の舞台には立てませんでした。
ヘタクソだったから。
同期や後輩は一緒に芝居してたのに。
稽古場を覗きに行っては、先生に怒られてたから。
そんな時、にっこり笑ってくれた顔が、やけに浮かびます。

まだまだもがくしかないなぁ。

思いを胸に。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:12| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする