過去、クラウドファンディングを成功させた企画を見てみるとある傾向がある。
一つは有名な人が出演していたり、有名な方が監督だったりという企画。
その人の映画なら観たいなぁという人が多く支援に回るのかもしれないし、取り上げられやすい。
もう一つが政治的メッセージが強い作品。
ドキュメンタリー映画のクラウドファンディングなんかはとても顕著だ。
特定の政治的な団体などが支援に回ったりすると一気に支援者数が増える。
「セブンガールズ」もそういう意味では政治的な方面に向かって情報が閉じていたわけではない。
けれども、女性団体も左も右もあまりこの作品の支援に回らなかった。
これって、とても不思議な事のように思えるけれど、よくよく調べてみるととても納得がいった。
終戦直後の「パンパン」について、政治団体は基本的にスルーしがちだ。
誰がどう考えても戦争被害者だ。
それどころか、「現在も」戦地の兵士の性については問題が続いている。
中東に限らず、駐留軍がいる地域は今も現存している。
もちろん、日本の沖縄も含めて。
そして、娼婦はどこの駐留地域にもいる。
職業選択の自由として、自分から体を売っている女性もいる。
けれど、貧困で仕方なくという人も、大勢いる。
まして、日本の終戦直後のパンパンは、敗戦国であり、食べる物もなく、一般の女性が多くパンパンになってる。
RAAという、国が作った占領軍の為の性処理施設があって、そこから始まってる。
明確に国が、女性に体を売らせたという事実がある。
それなのに、余り、そこに突っ込まない。
女性団体や左の人は、慰安婦問題がある。
日本は加害者であり、被害者ではない。そういう立場をとってる。
そうなると「パンパン」のことなんかは、余り触れられないのかもしれない。
日本人女性も戦争被害者がたくさんいたという事は当然わかっているだろうけれど。
大々的に取り上げるようなことはしない。
むしろ、右の人から、では、パンパンの事はどうなんだ?と突っ込まれることさえある。
じゃあ、右の人はどうかと言えば。
右の人は右の人で、基本的に国粋主義者であり。
こんな屈辱はないと捉えている。
極東裁判や、法律の制定については、さんざん声高に叫ぶ。
けれども、その時の女性の人権であるとか、戦争被害者だとか。
そういう部分にはあまり落とし込まない。
国の自立を叫ぶのに、それほど、大きなテーマになりえない。
これってさ。
とんでもないことだと思うよ。
明確な問題が山ほどあるんだから。
パンパンっていう存在そのものに。
戦争で片腕を失った兵士には当然死ぬまで国は生活保障をしたよ。
でも、終戦直後、戦争未亡人でRAAに入った女性は、なんの保障も受けてない。
それなのに、政治団体は、「立場的に」この問題は取り上げない。
とにかく、左の人は現在の与党を攻撃しやすい問題ばかり指摘してるし、右の人は東アジアの情勢と改憲ばかり声高に叫ぶ。
そういう意図から漏れた問題は、歴史の中から消えて行っちゃうの?
なんか、すごい不満なんだな、そういう感じが。
終戦直後のゴタゴタという一言で済ませることは出来るけれど。
そこで出来た社会は、今現在も日本に大きな影響を与えたままだよ。
例えば、終戦直後の在日韓国人、在日台湾人、在日中国人についてとかさ。
別にそれがどうということはなくて、知っていていいじゃないかってことが殆ど知られていない。
既に2世3世の世代になれば、もう、知らなくていいよという雰囲気だってある。
実際にハーフの子がパンパンの子供っていじめられた歴史だってあるんだよ。
問題にしづらい。
それはわかったけどさ。
今も増えているから。
毎日、涙を使い捨てているから。
別に何かの運動をしろとかは思わないけどさ。
ちゃんと知っているべき問題って、たくさんあるなって思うよ。
そういう隙間のような誰も触れない問題に触れていくのは、ある意味表現の場の仕事なのかもしれないけどさ。