2016年03月20日

街を創る

「この世の外へ~クラブ進駐軍」を観る。
今回の美術監督の杉本亮さんがかつて参加した阪本順治監督の作品だ。
杉本さんは最後のテロップで美術助手として名前が出てきた。
2004年の作品だからもう12年以上前の作品になる。
撮影日はそうなると、もっと前になるはずだ。
この作品も終戦直後で、その美術に参加していたから、ロケを探すなら参考になるかもしれないと教えてくれた。

おいらが手に入れたDVDには特典映像が付いていて、メイキングが入っていた。
メイキングで、終戦直後の街を作ることがこの作品の最初だと説明が入る。
まさにおいらが思っていたバラック小屋が並んでいた。
メイキングでは、埼玉県のある方の私有地との説明が入った。
映画をよく見ると、驚いたことに、コンクリートの電柱や、高圧鉄塔まで映り込んでいた。
え?終戦直後なのに、映っちゃっていいんだ・・・と驚いた。
でも、考えてみれば、いいのかもしれない。
もちろん、時代背景を考えればそこにあるはずのないものだ。
けれど、実際に映画を観た人でそれを気にした人なんかいないはずだ。
だって、気になるような場所にはないし、ピントが合っている場所は、やはり終戦直後のバラックなのだ。
もしかしたら、当時でも消そうと思えば消せたのかもしれない。
それでも、消したりはしたくなかったと監督がインタビューで答えていた。

それはちょっとした発見だったな。
やっぱり目立つのは、ディティール。
そこが終戦直後の街なのだという説得力は、看板であったり、浮浪児の顔にこびりつく泥であったり。
そういう細かい部分の方が、圧倒的に時代感を出していた。
寄りも引きも大事だけれど、絵を決めるのは、そういう部分なのかもしれない。
今まで気にしていたことがいくつかあるんだけれど、少しだけ気持ちは楽になった。

埼玉での撮影・・・。
そう。
もし、ロケ場所を都内近郊から関東近県まで広げるのならば、候補地が増える。
中には町ぐるみで映画撮影を誘致している自治体もあるのだ。
今も赤線や置屋が残る街で、既に、誰も済んでいない建物がたくさんある場所も見つけてある。
ただし、都内から移動すれば、時間はかかる。移動代もかかる。
泊りになれば宿泊費用がかかる。
自治体が完全に協力してくださって、集会所などで宿泊できれば変わってくるだろうけれど。
どこまで出来るのかはまったくわからない。

一つ。
朗報がある。
いよいよラインプロデューサーとの打ち合わせが近いという事だ。
先日書いた製作プロデューサーが既に連絡をしてくれている。
ラインプロデューサーはとてつもなく忙しい方だ。
次から次に撮影スケジュールが入る。
その撮影の全ての流れを見ているのがラインプロデューサーなのだ。
スタッフの手配、ロケ場所の手配、何から何までやるのだから、寝る暇もない。
信じられないようなスケジュールで、映画に携わっている。
有力なロケ場所候補をみつけたから、連絡メールをしたら、返信が来た。
この方が動き始めれば、いよいよ、製作会議と呼ぶに近いミーティングが始まる。

他にも実は朗報がある。
余り多くは書けないけれど。
某撮影の廃材を引き取ることが出来るかもしれない。
これが出来れば、セットの制作費が大きく浮く。
バラック小屋のメリットはここにある。
元々が廃材を組み合わせた建物がバラック小屋だ。
だから、廃材さえ手に入れられて、それを組み合わせたほうがリアルなバラックになるのだ。
1から材料を用意する何倍も速く、そして経費も削ることが出来る。
ありとあらゆる工夫とアイデアが集まり始めている。

12年前の杉本さん。20代だったはずだ。
今の齋藤さんよりは、年上かな?
どの映画にも思い入れがあると思うけれど、若い頃の作品はきっと学びながらだからより強い思いが残ってると思う。
美術助手と言う形で、終戦直後の街を作ったんだなぁと思うと。
今度は、美術監督として終戦直後の街を創るんだということに、とてもなんというか、しびれてくる。
あのマーケット、あのトタン、あのバラック。
今度は杉本さんが美術監督で、伊藤さんや齋藤さんや中條さんが助手なのかぁ。
なんというか、なんというかだ。
強い思いの残る作品にしなくちゃだ。
全ての関係者の。
そしていずれ、美術監督や映画監督になるかもしれないスタッフさんも中にはいるんだ。

街を創る。
なんて大々的なことまでは出来ないかもしれないけれど。
どうなるのかもわからないけれど。
自分の中のイメージが膨らんだ。
「肉体の門」とはやっぱりちょっとだけ違うんだよなぁ。
「麻雀放浪記」の最初のバラックとか。
「仁義なき戦い」の最初の闇市とか。
あのイメージが一番強かったのだけど、引き出しが増えた気分だ。

早く皆様に発表したいことがたくさんある。
中々、色々と伏せながらしか報告できないけれど。
確実に一歩一歩撮影に進んでいます。
場所だけではない。
観念としての街を創り始めています。

セブンガールズが映画化します。
本当に映画化するのです。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:19| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする