2016年03月08日

ショクニンカタギ

日本人で一番有名な監督と言えば、やはり黒澤明監督になるのだと思う。
世界中で数々の受賞、今もなお、世界中に多くのファンを抱える。
日本が生んだ大監督だ。

有名な逸話に、あの山がいらない。と言ったらしいというのがある。
その話の真偽のほどはともかく。
それに近いことは何度もあったのだと思う。
天皇とまで呼ばれたのだから想像に難くない。
まぁ、かと言って、すごく偉そうな人だったのかと聞かれるとそうでもないみたいだ。
残っている逸話を聞けば、完璧主義者だっただけで、偉そうと言うのとは違う。

この話を聞いた時に、おいらが思ったことは。
世界中で有名な「黒澤明」というブランドの下に、とても日本人的な凄い職人がいたのだろうという事だ。
今みたいに、デジタル処理である程度撮影後に調整が出来るわけじゃない。
その頃に、監督が完璧主義者で、こうしたい!と言った希望を、叶えてきたスタッフさんたちだ。
カメラマンさんはもちろん、照明、大道具、特殊効果・・・。
どこを切り取っても、職人たちだったのだろうなぁと思う。

「職人」という言葉に違和感を覚える人もいるかもしれない。
でも、実際に、舞台でも映画でも、職人と呼ばれる人が実は何人もいる。
今はそのお弟子さんたちの・・・下手すれば孫弟子の世代になっている。
それでも、今でも現役で映画界で働いている職人さんが山ほどいる。
アーティストでも、クリエイターでもない。
デジタルの時代に、映画と言うクリエイティブな作業を思うと、不思議かもしれないけれど。
やっぱり、職人としか言えないような人たちだ。

例えば去年のセブンガールズの時。
パンパン小屋の扉の中で待機していると、とてもとてもコーヒー臭かった。
あれは、何故かと言うと、中に立ててある障子のシミを、霧吹きでコーヒーをかけて作っていたからだ。
いつ張ったかわからないようなチラシが壁にあったと思うけれど、あれもそうだ。
プリンタで新しく出力したチラシをグチャグチャにまるめて、糊で貼ってから、あえて破いて、そこにコーヒーを吹く。
何段階もの工程を経て、いつのまにか風化したようにしか見えないチラシがそこに貼ってある状態になる。
そういうコーヒーを使うだとかのアナログな技術は脈々と受け継がれている。
それはもう、「職人」と言って差し支えない技術だと思う。
カビは雨だれのラインから生えてくる・・・とか、手垢はこの高さに付きやすいとか。
経験則に基づく様々な技術が、そこにはある。

おいらも少ないながら映像の仕事に行った時に、何人か、職人としか言えないスタッフを見た。
もちろん、舞台の世界にもいるんだけど、映像の世界の職人さんもとても興味があった。
昔から、専門職を極めているような人が大好きだからだ。
信じられないような所に照明を当てて、カメラを覗くとまるで自然光になっていたりする照明さんだった。
ちょっとあれには驚いたなぁ。
もう、おじいさんと呼んでいいぐらいの方だったけれど。
監督に言われたことを、さささと、当たり前のように準備する姿は本当に格好良かった。

受賞は「クロサワ」だとしても。
そこには、数多くの職人がいる。
つまり「クロサワ」とはチームだったのだと思う。
監督の能力はもちろん図抜けていたのだろうけれど、それだけでは絶対に世界に認められない。
日本の職人って、実は、映画に限らずに世界中に認められている。
宮大工とか、漆塗り職人とか、ねじ作りとか、iPhoneの中にすら日本の職人の技術が入ってる。

代替わりもしたし。
時代はデジタルにも突入している。
だから職人的な人はどんどん少なくなっているかもしれない。
(デジタルカメラの職人や、デジタル編集の職人と呼ばれる人は逆にいるんだろうなぁ)
それでも、とても楽しみなんだ。
おいらは大好きだからね。
例えば杉本さんが、どうやって終戦直後の世界を再現するのか。
カメラさんがどうやって、監督の希望するアングルに近づいていくのか。

そして、おいらは、職人的な役者になれたらなぁって思うよ。
監督の要望に、さささと当たり前のように準備するような職人に。

クリエイターとか。
アーティストとかじゃなくてね。

職人だよ。

外国語で職人なんて翻訳できないんだろうなぁ。
出来ても、きっと、プロフェッショナルとか、クラフトマン。
そうじゃないのさ。
もう人生の哲学な意味まで込められている言葉なんだ。
場合によっては宗教的な意味すら込められている。
お城だって、神社だって、iPhoneだって作っちゃう。

日本のアニメだって、漫画だって、すごく認められているけれど。
いつも思うのは、日本人独特の職人気質こそ、それを生んでいるんだよなぁってことだ。

そういう仕事をしたい。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 01:42| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする