今頃、劇団の女優たちは風呂上りに浴びるほど化粧水を肌に染み込ませ。
それ、膜状に固まっちゃうんじゃないのというぐらい乳液を塗ったくり。
美顔ローラーで、ゴリゴリと肌の下にあるリンパを流し、表情筋を鍛えているでしょう。
なんとなく何人かがダイエットだの、なんだのと書き始めています。
先週、デビッドさんがミーティングの時間に最初に口にした言葉が。
「痩せて。肌とかは大丈夫だと思うけど。やって。」
でした。
厳しい一言と言えば一言です。
実際に、食糧のなかった時代だし、役の中には病気という設定もあります。
あまり飽食の時代の感じが出てしまうと、リアリティがなくなります。
冗談で、ヒアルロン酸注入は禁じます!とか言ったけど・・・。
日本アカデミー賞で、「百円の恋」の安藤サクラさんが、最優秀主演女優賞を受賞しました。
名前が呼ばれた時、本人が一番驚いていました。
優秀賞に選ばれたメンツがメンツですから・・・。
超ベテラン女優などもいたわけで、自分だと思っていなかったようです。
もちろん、理由はそれだけではなかったと思います。
助演男優賞の際に言っていたけれど「百円の恋」は低予算映画だったそうです。
上映館も始めは数えるほどで、それが噂を呼んで少しずつ上映館を増やしていった。
それはこれまでの日本アカデミー賞の歴史で考えても受賞するような作品じゃないという事です。
映画会社も深くかかわっている日本アカデミー賞ですから、驚いたのだと思います。
その上。
この作品で、安藤サクラさんは、ほぼスッピンでした。
従来の女優様という存在からは遥かに離れた演技でした。
むしろ、女優がそんなにまでしていいの?というぐらいストイックに顔を崩してボクシングをしていました。
殴り、殴られ、その上、顔を腫れ上がらせて。
そういう役での主演女優賞というのは、あまりなかったのではないでしょうか。
役者からすれば、とてもとても納得のいく受賞でした。
「綺麗」とか「銀幕の薔薇」とかも女優です。
でも、「演技」をこそ認められたというのは、とても好感を持ちました。
おいらは、うちの女優のお芝居をわりに信じています。
恐らくデビッドさんよりも、数段楽観的に観ています。
売れてるとか売れてないとかっていうモノサシを外しちゃえば。
全然、演技が劣ることなんてないだろうと思っています。
自分を目立たせる方法とか、自分を輝かせる技術とかではなく、あくまでも演技の事です。
そして、作品に準じられる女優が何人もいます。
自分自分で目立とうとする技術なんか、どうでも良いと考えれば、充分な実力だと思います。
でも、そんな皆にデビッドさんは、やせろ指令を出したのです。
もちろん、痩せているメンバーもいるのですけれど・・・。
やはり、そこは美しい方が良いだろうということかもしれないです。
でも、それだけじゃない気がします。
気の持ち方。そういう部分でもあるのではないかと思うのです。
今、きっとテレビを観ながら、美顔ローラーをグルグルやってる女優がいます。
まだ世の中的には無名な女優です。
地道な積み重ねが、彼女たちを輝かせる日がきっときます。
ん?
痩せろって。
おいらに対してか?