ドッペルゲンガーを見てしまった。
これでおいらは、芥川龍之介先生と並んだことになる。
自分かと思って調べたら、ちゃんと違う人だった。
最近、小劇場原作の映画が発表され始めている。
今に始まったことではないけれど、最近はとても増えている。
むしろ、映画界がオリヂナル作品を創りづらくなっていると言った方がいいのか・・・。
漫画原作があって、小説原作があって、ドラマ続編があって。
ついに、小劇場の面白いという噂の作品にまで手が伸びてきたという事だと思う。
もちろん、出演者はその劇団の劇団員ではない。
有名な俳優が、劇団員に取って代わって出演している。
何人かは劇団員も出演していたりするけれど・・・。
なんだったら、監督はその演出家というケースもある。
あるけれど、俳優だけは総とっかえになってる。
理由はたった一つしかない。
それは、日本での上映における興業的な部分。
動員できるかどうかという目算だ。
映画会社からもスポンサーからも、有名な俳優が出てなければお金が下りない。
なんという、つまらない、どうしょうもない理由だろうと思うけれど。
実際にそうなんだから仕方ない。
その作品を映画化するなら、絶対にベストな俳優は劇団員だと思う。
それが、日本の映画界の常識ってやつなのだろう。
実際、今、NHKですら、無名の俳優を突然ピックアップすることが少なくなった。
朝ドラや、大河ドラマと言えば、それまで無名の実力派俳優が出てくるドラマだったのに。
なぜそうなったのかまったくわからないけれど、実際、今の朝ドラを観ればすぐにわかる。
むしろ、仮面ライダーなどが、無名俳優の登竜門的存在になり始めている。
予算がなかったり、視聴者層が子供だったり、有名である必要がない番組からしか新人が出ない。
本当にそれでいいのかなぁって、とてもとても思う。
つまり。
良い作品を創る!というベクトルと。
お金になる作品を創る!というベクトルはまったく違うという事だ。
それは、なんだか、とってもとっても、つまらないんじゃないの?って思う。
何故なら、健全ならば、良い作品はお金になるからだ。
良い作品が必ずしもお金になる訳ではないだろうけれど、必ずじゃなくてもいい。
良い作品には、やっぱり、たくさんの人が集まる。
そういう状態じゃないのだとすれば、やっぱり、健全じゃないと思う。
オリヂナルが創りづらいという風潮も全く同じ理由だ。
今、世界の映画興行界で、日本映画は軽んじられているそうだ。
別にアジアの島国だからじゃない。
インドや、シンガポールや、アジアの国で勢いがある国がいくつかるらしい。
ヨーロッパでも、アジア映画という意味では全体的には評価が上がってきているそうだ。
それが、日本映画は、あまり注目されないということが何年も続いてると聞いた。
あ、もちろん、まったくじゃあない。
他のアジアの国々に比べて、あまり期待されていないと聞いた。
勢いのある国がアジアにあるからかもしれない。
でも、本気で、世界のマーケットで、作品を発表するのなら、興業なんか別の話と割り切るべきだと思う。
・・・とは言え、お金を出す資本から見れば、どこの馬の骨ともわからない連中にお金は払えないと思う。
だから、この企画はその裏側をつついた企画だ。
思いきって、資本を映画会社からも、スポンサーからも求めなかった。
この企画では出しようがないと言われれば、企画を変えていかなくちゃいけない。
だからこその、クラウドファンディングだった。
そうすると、じゃあ、動員はどうするんだ?という話になる。
結局、無名の俳優ばかりで映画を創ったって、観客は動かないよ。
・・・そう言われるのは余りにも明白だ。
ただ、それは、日本国内の動員だけを考えた旧来の映画界の常識でしかない。
そんなの、気にしていたら何もできなくなってしまう。
だから、むしろそれを逆手に取っている。
日本の小劇場が代表作を映画化して世界に挑む。
このアングルは、有名な俳優が何人か出演することよりもずっと大きな魅力だと思ってる。
少なくても、世界では。
何故なら、日本で有名な俳優も、世界では無名だからだ。
世界に持っていけば、役者の有名無名はまったく関係がなくなる。
その上、「彼らは日本のリトルシアターカンパニーの俳優で、資金0円から支援を募って映画を創った」というサクセスがついてくる。
「彼らはこの作品を映画化するためノーギャラで出演しているという」とか。
「17年もの間、舞台をやってきた」とか。
日本では弱点であるはずのプロフィールが、全て、アピールポイントに変化してしまう。
海外の映画祭で知られている日本の俳優なんて、何人いるだろう?
ミフネぐらいなんじゃないか?って本気で思ってる。
日本人が小劇場の俳優を知らないのと同じように、海外では日本人の俳優なんか知ってるわけがない。
もちろん。
日本で有名になりたいし、興業だって成功に向かいたい。
その為に作品の濃度を濃くして、世界中の人が心を動かすような映画を創りたいと思う。
あくまでも、その先の結果だってことだ。有名だとか興業だとかっていうのは。
だから、この企画が、万の一つの確立だとしても成功すれば大きな大きな功績になるんだ。
映画会社もスポンサーも、面白い作品を小劇場界に探しに行くようになるかもよ。
流れが変わっちゃうかもしれないんだ。
数字を取るには、数字じゃ計れない。
そういう革命が起きるかもしれないよ。
朝ドラはもう一度、無名の十代の女の子を探し始めるかもしれない。
その方が面白いよ。
少なくても、ちょっと前は、そうだったんだから。
サクセスを。
サクセスストーリーにする。
そういう挑戦でもあるんだ。
この企画は。