2016年03月22日

一か月

3月22日。
クラウドファンディング終了日から一か月が経過した。
もどかしくなるほどまだ映画製作企画は助走段階だ。
当たり前なのだけれど。
一歩一歩。
助走段階でも進んでいる。
いつか、助走が駆け足になって、いつか駆け足が全速前進になる。

昨日もロケ候補地のその1に向かう。
その裏にある集落的な場所もお借り出来たらなと思っているのだけれど、地主さんとまともに話せていない。
ご高齢なのに農業をやってらっしゃって、いつも畑に出ているから中々声をかけられない。
声をかけた時も、田舎の人で、基本的によそ者や面倒は持ち込まないでほしいという感じだ。
頑固なわけじゃなくて、保守的な感じ。
とても、素敵なおじいちゃんなのだけど・・・・。
だから、まめに顔を見せて、少しずつお願いできればなぁと思っている。

稽古後に、やっぱり、俺みたいなむさくるしいおっさんが一人で尋ねてお願いしてもダメなのかなぁと話した。
広田さんとかに一緒についてきてもらって、話してもらった方が良いのかもなぁなんて思ったのだ。
広田さんは、うちの親父なんかもそうだったけど、実にご高齢の方と話をするのが上手だ。
そしたら、たまたま時間が空いてるから、行こうかなぁと堀川が言い出す。
まぁ、遠いし、行っても会えないことの方が多いし、無理しないでいいよ。
本格的にお願いする時に、空いてたらくればいいよぐらいに言ってたら。

なんか、今日、本当に来た。
実は、どんな場所か自分の目で確かめたかったというのもあるらしい。
花粉対策の眼鏡にマスク。
じょ・・・女性だけど、それはそれで怪しいんじゃねぇの?と思いつつ。
駅まで迎えに行き、候補地まで向かう。
お彼岸だから、おはぎを買っていく。

現場に着くと、堀川は、あちらこちらを見て回る。
地主のおじいさんは、やはり今日も広大な畑に出ていた。
一人で、何か植えている。
手を止めさせるのもどうかと思うし、勝手に手伝うのもはばかれるし。
少し間を置こうかと、畑を離れる。
一番下にある、石の彫刻さんだけが、カンカンと石ノミをふるってた。
折角だから、話してみる?と堀川に聞いてみると、案外、平気な顔をしている。
初めて会う人と話せるんだなぁ、こいつは。とちょっと感心する。
役者をやってるような人間は、とても社交的か、とても内向的か、どっちかだ。
堀川は社交的な方みたいだ。

石屋さん(自分の事をそう呼んでいらっしゃった)は、作品製作途中の一服タイムだった。
おいらも話したけど、堀川がどんどん質問してる。
硬くて四角いはずの石が、流線型のなめらかなオブジェになっていく途中段階になってる。
これ、どうやるんですか?
ええええ。すごいです!
この間、おいらが話した時とは違う質問をしている。
一つの作品に半年かかったりするという。
大きな石を、半年かけて、石ノミで削っていく。
出来上がる作品は、オブジェで、何かの役に立つようなものではない。
そういう事を、もう何十年と続けている芸術家と堀川の会話。
聞いていて、ハラハラしたけれど、新鮮だった。
堀川がそこで何を感じて、自分がどう演劇と向き合ってきていたかに繋がるかはわからないけれど。
石屋さんも、少し嬉しそうだった。

その後、畑を見ると、まだおじいさんは農作業を続けていた。
何を植えているかはわからないけれど、もう3列目に入っていた。
諦めて、そのままお宅に向かった。
奥様がいらっしゃるからだ。
尻尾を振って犬がなく玄関で呼び鈴を鳴らすと、小さいおばあちゃんが更に小さく腰を曲げて来てくださった。

映画で土地の一部を利用させていただきたい旨をもう一度伝える。
おじいさん、その後、なんか言ってました?ダメだって?と、優しい笑顔で答えてくれる。
舞台のDVDを渡そうとすると、そういう機械が何もないんですよと言う。
買ってきたおはぎをお彼岸ですから・・・と手渡すと、いんですよ・・・なんて言ってくれる。
なんだか立っているのがつらいんじゃないかって心配すると。
立って止まっているとね。腰が曲がっているからちょっと辛いんですけどね。
畑にだって出てるんですよ。今日も草むしりをしようかと思ってたんです。
買い物なんか、バスに乗らないで歩いて行っちゃうんですよ。待つより早いかなって・・・。
そんな風に笑顔で話してくれる。
どこにも拒絶感なんかない。
笑顔で話した後、おはぎを受け取ってくれる。

ふと思うんだ。
オレオレ詐欺とかさ。
なんというか、物騒な世の中じゃない。
しらない人間が現れたら構えちゃうよね。
すぐに玄関を締めちゃうことだって出来ると思うんだ。
あんなふうに笑顔でおいらだったら話せるのかな?
不審者って思われないといいなって思ってたのがばかみたいに、話を聞いてくれたんだ。

撮影日が決まるまでに。
確実に候補地が増えればいいなと思っている。
あそこは、本当に素晴らしいロケーションだから、ぜひ候補地に加えたいなぁ。
時々、顔を出して。
いつか、農作業も手伝えたらなって思う。

梅はもう散っていたよ。

シナリオは進み。
候補地は増え。
そしてスタッフミーティングが始まる。
あれから一か月だ。

堀川が帰り、おいらは実家に向かう。
親父に線香を手向ける。
手を合わせて報告をする。お願いはしない。

春になったけど。
少し肌寒い。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 01:39| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月21日

暑さ寒さも彼岸まで

シナリオは進む。
変わった部分だけでもまとめておかないとだ。
確実に、シナリオは進んでいる。
進んだ台本も、やはり、絵が思い浮かぶものだった。
場面をまとめて、登場人物の追加もまとめておこうと思う。

明けて今日はお彼岸だ。
親父に線香をあげよう。
親父が生きているうちに映画に出たかったなぁ。
もしそうなったら、なんて言っただろう。

春分の日から、昼夜の長さが逆転する。
正確にはそうじゃないらしいけれど。
古来から春分の日は天文学的に重要な日だった。
今も、記録に残らないほどの歴史があるような神社は、春分の日に境内にいると、丁度、鳥居の真ん中を太陽が昇るという。
山の上の神社は、古来より天文を確認する場でもあった証拠なのだそうだ。
暦や時間は、山の上の神社やお寺が知らせていた。

変わらない太陽と地球の関係。
公転と自転。
1000年前も100年前も、春分の日から、春がやってきた。
最近は、春分の日を過ぎてからも寒の戻りがあるから油断禁物だけどさ。
明確に明日から春だよ。ってお知らせは、なんとなく心が弾む。
街を歩けば、卒業式の格好を見かけるようになった。
後は、桜が舞うのを待つばかりだ。

彼岸。

簡単に言えば「向こう側」だ。
カノキシと訓読みした方がわかりやすいのかもしれない。
実際には、「向こう岸に渡った」ぐらいの意味まで含んでいると聞いたことがある。
もちろんそれは、観念的な例えで、一種の悟りを得るという意味だ。
昨日までとは違う世界に至ったということなのだろう。

「劇的なるもの」とはなんなのか?
多くの先人たちが、演劇で繰り返し探してきた。
日常は、ほんの簡単なキッカケで非日常にひっくり返る。
そのキッカケこそ、劇的なるものかもしれない。
それまで生きてきた世界がガラリと風景を変える。
自分の状況が変わるだけではなく。
もし、自分自身も変わるのであるとすれば。
その自分が変わることこそ、本当の「劇的なるもの」で、これこそ「彼岸」なのかもしれない。
「劇」とは、何かに至り変化するサマを見せるシステムなのだから。

思えば自分自身の生きてきた毎日の中で。
とても日常とは思えないような「劇的な」瞬間がいくつあっただろう?
自分自身の変化に至らなかったことも多いけれど。
自分自身の見える世界が確実に変わったことが何度あっただろう?
幾千年繰り返された星の営みの中で。
小さな悟りと小さな変化が、毎日どこかで起きている。


・・・10代のガキの頃。
好奇心ばかりが先行して。
大人たちがダメだという言葉も耳に入らず。
思いきって大人の世界に飛び込んだ。
そんな日の話をした。
織田さんは初めてLIVEに行った日の事を。
幸子は、初めてディスコに行った日の事を。
おいらは、高校生なのに、雀荘に一人で飛び込んだあの日の衝撃を。
物語の中で描かれる登場人物は、必ず、そんな一歩を踏む。
恋に夢中になって建物に忍び込むロミオのように。
夢中になって夢中になって、大きな一歩を踏み込む。
そして、劇の登場人物は自分の見ていた世界を広げていく。
パンチパーマに口髭のおじさんに囲まれて、麻雀牌を握りしめたあの日。
確かに、おいらはそれまでの自分から、ここからの自分に生まれ変わった。
ロミオの人生が変わってしまったように。
「劇的なるもの」は、今もすぐそこに転がっている。
セブンガールズには、いったいいくつの劇的な瞬間があるだろう。



春と秋に、彼岸がある。
季節の変わり目だ。
春は牡丹でぼたもち。秋は萩でオハギ。
季節が変わることは、もう、それ自体が劇的だ。
それまでの風景から、これからの風景に変化するのだから。

気付けば、花吹雪が舞う。
新入生の晴れ舞台だ。

花吹雪の下では、誰もが、物語の登場人物だ。最高の演出だ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:05| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月20日

街を創る

「この世の外へ~クラブ進駐軍」を観る。
今回の美術監督の杉本亮さんがかつて参加した阪本順治監督の作品だ。
杉本さんは最後のテロップで美術助手として名前が出てきた。
2004年の作品だからもう12年以上前の作品になる。
撮影日はそうなると、もっと前になるはずだ。
この作品も終戦直後で、その美術に参加していたから、ロケを探すなら参考になるかもしれないと教えてくれた。

おいらが手に入れたDVDには特典映像が付いていて、メイキングが入っていた。
メイキングで、終戦直後の街を作ることがこの作品の最初だと説明が入る。
まさにおいらが思っていたバラック小屋が並んでいた。
メイキングでは、埼玉県のある方の私有地との説明が入った。
映画をよく見ると、驚いたことに、コンクリートの電柱や、高圧鉄塔まで映り込んでいた。
え?終戦直後なのに、映っちゃっていいんだ・・・と驚いた。
でも、考えてみれば、いいのかもしれない。
もちろん、時代背景を考えればそこにあるはずのないものだ。
けれど、実際に映画を観た人でそれを気にした人なんかいないはずだ。
だって、気になるような場所にはないし、ピントが合っている場所は、やはり終戦直後のバラックなのだ。
もしかしたら、当時でも消そうと思えば消せたのかもしれない。
それでも、消したりはしたくなかったと監督がインタビューで答えていた。

それはちょっとした発見だったな。
やっぱり目立つのは、ディティール。
そこが終戦直後の街なのだという説得力は、看板であったり、浮浪児の顔にこびりつく泥であったり。
そういう細かい部分の方が、圧倒的に時代感を出していた。
寄りも引きも大事だけれど、絵を決めるのは、そういう部分なのかもしれない。
今まで気にしていたことがいくつかあるんだけれど、少しだけ気持ちは楽になった。

埼玉での撮影・・・。
そう。
もし、ロケ場所を都内近郊から関東近県まで広げるのならば、候補地が増える。
中には町ぐるみで映画撮影を誘致している自治体もあるのだ。
今も赤線や置屋が残る街で、既に、誰も済んでいない建物がたくさんある場所も見つけてある。
ただし、都内から移動すれば、時間はかかる。移動代もかかる。
泊りになれば宿泊費用がかかる。
自治体が完全に協力してくださって、集会所などで宿泊できれば変わってくるだろうけれど。
どこまで出来るのかはまったくわからない。

一つ。
朗報がある。
いよいよラインプロデューサーとの打ち合わせが近いという事だ。
先日書いた製作プロデューサーが既に連絡をしてくれている。
ラインプロデューサーはとてつもなく忙しい方だ。
次から次に撮影スケジュールが入る。
その撮影の全ての流れを見ているのがラインプロデューサーなのだ。
スタッフの手配、ロケ場所の手配、何から何までやるのだから、寝る暇もない。
信じられないようなスケジュールで、映画に携わっている。
有力なロケ場所候補をみつけたから、連絡メールをしたら、返信が来た。
この方が動き始めれば、いよいよ、製作会議と呼ぶに近いミーティングが始まる。

他にも実は朗報がある。
余り多くは書けないけれど。
某撮影の廃材を引き取ることが出来るかもしれない。
これが出来れば、セットの制作費が大きく浮く。
バラック小屋のメリットはここにある。
元々が廃材を組み合わせた建物がバラック小屋だ。
だから、廃材さえ手に入れられて、それを組み合わせたほうがリアルなバラックになるのだ。
1から材料を用意する何倍も速く、そして経費も削ることが出来る。
ありとあらゆる工夫とアイデアが集まり始めている。

12年前の杉本さん。20代だったはずだ。
今の齋藤さんよりは、年上かな?
どの映画にも思い入れがあると思うけれど、若い頃の作品はきっと学びながらだからより強い思いが残ってると思う。
美術助手と言う形で、終戦直後の街を作ったんだなぁと思うと。
今度は、美術監督として終戦直後の街を創るんだということに、とてもなんというか、しびれてくる。
あのマーケット、あのトタン、あのバラック。
今度は杉本さんが美術監督で、伊藤さんや齋藤さんや中條さんが助手なのかぁ。
なんというか、なんというかだ。
強い思いの残る作品にしなくちゃだ。
全ての関係者の。
そしていずれ、美術監督や映画監督になるかもしれないスタッフさんも中にはいるんだ。

街を創る。
なんて大々的なことまでは出来ないかもしれないけれど。
どうなるのかもわからないけれど。
自分の中のイメージが膨らんだ。
「肉体の門」とはやっぱりちょっとだけ違うんだよなぁ。
「麻雀放浪記」の最初のバラックとか。
「仁義なき戦い」の最初の闇市とか。
あのイメージが一番強かったのだけど、引き出しが増えた気分だ。

早く皆様に発表したいことがたくさんある。
中々、色々と伏せながらしか報告できないけれど。
確実に一歩一歩撮影に進んでいます。
場所だけではない。
観念としての街を創り始めています。

セブンガールズが映画化します。
本当に映画化するのです。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:19| Comment(0) | 映画製作への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする